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スマさん世代の腐った文字書きが好きなものは好きと無駄に叫ぶ

「舞祭組」という「魅力」とその真似をすること

完全に、横尾担・舞祭組担・俺足担と化して1年がたとうとしている私だけれど、まあ贔屓目というかそういう意味で嬉しかったことと考えさせられたことをがあったので、メモとして。


久しぶりに、親友とカラオケにいった。

なんだかんだで1年に数回はカラオケや飯に繰り出して、ストレスを吐き出す。もう付き合いが20年になろうという彼女とは、元々舞台好きという繋がりで仲良くなって、非常に演目などの好みは似ているのだが、「女子」という目線では微妙に好みが違うのでつきあいが続いているといってもいい。

そして何より彼女自身ダンスや歌をやっていたこともあって、私とはまた別の視点を持っている。
私自身、自分なりの基準で「タレント」という存在を見ているが、あくまでも「気持ちに響くかどうか」それだけ。彼女の場合、積み重ねた技術に基づいての評価を持って見ることがある。

そんな彼女から先日「付き合いで行くことになった」とある舞台に誘われたのだが仕事の都合で断っていた。 件の舞台の終演後、彼女からLINEが来た。

「舞祭組って歌うまいと思う」

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その真意が今日ようやくわかった。
彼女の行った舞台は通常ダンサーとしての評価が高い俳優さんのショー形式。その中でキスマイや舞祭組の楽曲が使われていたのだという。
 
「あんたが教えてくれたUTAGEとか見て、ぶっちゃけ上手くないって思ってたけどさ。 あの舞台見てたら、本家がうまいって思った」

こと、技術についてはお世辞を言わない手厳しい人だ。たぶん、きっと実際そうだったんだろう。
けれども、微妙に疑問も残る。ちょうど、カラオケボックスの大画面ではWORLDの舞祭組渉さんソロが流れている。

「これより?」
「うん」
「まさか」
「あのね、頑張ってる下手、じゃなくて、単に下手だったの。それにね、ダンスも上手いは上手いけど『良くなかった』んだよね」
「ああ」
そこに至って納得できた。


おそらく、UTAGEや各種記事のおかげもあってか渉さんをはじめとする舞祭組メンバーについては、「歌が下手」という評価が一般的になっているだろう。歌は下手・後列で華がない・自虐的な歌をキレキレダンスで踊る。基本的にタレント全般に詳しくないうちの母などもそんな評価を持っている。

だから。
その舞台でも「舞祭組をやろう」となったのではないだろうか。
「そんなに歌が上手くなくても大丈夫な曲。ダンスはこの出演者達も上手い」
そういう論理がどこかにあったんじゃないか、と感じた。その上で
「でも、舞祭組だけじゃ単なるネタだから、カッコいいの見せるためにKiss魂もやろう。ラップ調だから大丈夫」

実際のところはどうかわからない。

けれど、もしそうだったとしたら。推察の域を出ないけれど、親友が感じた印象から言ってその目論見は大きく外れたことになる。

「タレント」というものは「=才能」だと思っている。
それは、技術もそうだけれどその人自身が持つ色合いだったり、人間性・生き方にも大きく左右される。
 タレント自身がどれだけ人間として魅力的か、そこに彼等の仕事の成果が魅力的になるかどうかが反映される。

技術が伴わないことで、当然色々と評価は分かれるところかもしれないけれど、「舞祭組」 という存在は、その名を冠する彼等がどれだけ無骨に不器用に、そして何よりも真摯に仕事と仲間とお客さんに向き合ったかを魅せるもののような気がする。
だから、私は彼等に惹かれる。

だから。
もし、技術面だけを考慮して彼等の真似をしようとしても、決して魅力的にはならないのだ。

以前、「やっちゃった」をUTAGEで他の男性アーティストさん達が舞祭組バンドを従えて歌ったことがあった。その時は、上手いと思ったし楽しいと思った。やっぱり好きなのは舞祭組本人達の馬鹿みたいに必死な姿での歌唱だったけど、彼等を愛している人達が楽曲にも真摯に向かってくれたことで愛おしいパフォーマンスだったと思う。

そういう、ことなんじゃないだろうか。

もしも、親友の見た舞台の演者が、単なるショーの出し物の一つとして、「こなす」のではなく、舞祭組の楽曲や舞祭組を本当に好きだと思って、その上で自分のものにして舞台に乗せていたら、彼女の評価はまた違ったものになっていたかもしれない。

世間の評価はいろいろあって、まだまだ努力しなきゃいけないことも多くて、自虐が行き過ぎて嘘になることもある。
けれど、そこには確かに積み重ねてきた彼等なりの「才能」や「魅力」の形があると思う。

「舞台見てる人、ほとんど演劇ファンばっかで。逆にジャニーズ知らないせいでぽかんとしちゃってる人が多くてさ。余計白けるのね」

「ジャニーズナメてたわ」
親友がぽつりと言った。
伊達や酔狂でお金を注ぎ込まれる存在ではない。その結果としてオリジナルの楽曲を持ち、大きな場所での経験を積んでいるのではないんだね、と彼女は言う。
その上で、彼等を愛し、育てるような目で見ている目に囲まれることも、魅力に繋がるんじゃないかと言った。


親友の話を聞きながら、舞祭組ちゃんナメられてんなと思いつつ、少しだけほくそ笑む。
ナメられていたとしても「真似をしよう」と思ってもらえる程度には、演目を考えた人から見て魅力があったということだし。更には、こんなふうに見直してもらえるキッカケになればと、思ったりもするのだ。