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スマさん世代の腐った文字書きが好きなものは好きと無駄に叫ぶ

おっさんずラブは腐女子ホイホイなのか

なんて小難しいタイトルをつけてしまったけれど、『おっさんずラブ』です。

かなりの盛り上がりを見せたみたいですが、それとは別にして、うん、面白かった!なのでそんなお話。

 

基本的に、BL・腐女子という言葉も生まれる前から、まぁそういう作品は好きという嗜好。ただ、なんていうんだろう…好みとしてリアル感がないのも変に重いのも好きではないので、最初このドラマをやる、というのをTV誌で見た時はどうなのかなぁと思っていた。

ここ数年、アニメの方では人気作漫画とかが映像化されていて、ぶっちゃけなんか違う、と思っていたせいもある。いや、否定する気はないんだけど、なんだろうなぁ…

じんわりと楽しみたいというか。BL流行りだし―とかもつまらんし、変に役者売り、も嫌だし。BLっぽいドラマって言うと、「同窓会」やら「夜に抱かれて」とか(古い)があったし、隣の芝生は青く見えるは可愛かったけど…。

 

まぁそんなもやもやを抱えていたら、連ドラ前ということで以前放送されたスペシャルドラマの再放送があった。

「はるたん」「ぶちょう」は連ドラと同じキャスト。見てみて「あ、結構好きな奴」となった。話として素っ頓狂に笑えるのにリアルで可愛くて、じんわりいい。

でも、そのスペシャル版を見たからこそ、「あえて連ドラにする必要あるか?」と思えた。

そのくらい、ちゃんとまとまってたので。落合モトキ君の「ハセ」も宮澤佐江ちゃんの「あすか」も好きだったので、そのあたりのキャストが変わっちゃうのも、なんかなぁという感じ。

 

それでも、はっちゃけてる田中圭君の演技は「子育てプレイ」の頃から好きだし、吉田鋼太郎さんのおとめっぷりもいいし。1話で決めよう、そんな風に視聴開始。

それなりに同好の士の多いTLにも見ている人は多くて、ものすごく楽しめた。BL作品として。

はるたん・ぶちょうはパワーアップしてたし、牧くんのはるたんをちょっと雑に扱いつついじらしいとこもいいし、武川さんの第三の男ぶりも、ちずちゃんの健気さも、蝶子さんの女っぷりも、まさかのマロの男ぶりも。可愛い。もうね、最近年のせいか「可愛い」これが一番多いんだ、感想で。

 

とはいえ、私が特に好きなのは「ドラマとしてすごいな」という点だ。

スペシャル版をちゃんとパイロット版にしつつ、連ドラにする意味のあるストーリーの膨らませ方、キャラの肉付けがものすごい。一つ一つちゃんと意味を持って、楽しい。

最後の春田んと牧君の海沿いのシーンもスペシャルと昼夜違うのに同じ…ライン上にある幸せがそこにあって。「クリスマスの夜だから盛り上がる」「結婚式と旅立ちだから盛り上がる」じゃなく、「好き」という幸福がちゃんとあった。そういうシーンがいっぱいあるのが、楽しかった。

 

ドラマの公式や脚本家さんたちも書いていらっしゃるように、役者さんも微妙で素直じゃなくて、そのくせ可愛いキャラクターを息づかせている。いろんなシーンがアドリブだと知って震えた部分もある。

Twitter上には、光の形・声のトーンまで読み込んでいる猛者達がいて、あとから見直して映像の隅々に、小さなこだわりもあることに驚いた。

BLっていうなら、腐女子の傾向としては牧春なのか春牧なのかって問題やらあるんでしょうけど、個人的にはそこにはこだわらない。人同士としてどうか、ってあたりが気持ちよく描かれているんで満足。

インスタも物語の隙間をちゃんと埋めてくれていて、宣伝くさくない。

ストーリーそのものも「嫌な人」を出さないで、皆の幸せを願える話って最近ない気もする。コメディーとしても、人間ドラマとしても、軽く、ほんわりと楽しい。

 

あざとすぎない。幸せしかない。

 

誰が、すごい、とかじゃなく…関わっている人が、真剣に、楽しんで、チャレンジしてるドラマって面白いんだなぁと改めて思った。

 

ただね。

この流れで、こういうドラマが増えちゃうのはまったく嬉しくないわけです。

昔、BLがば――――っと広がった時みたく、何でもいいってわけじゃなく。「この人達が」「この人たちでしか」作れないものを見たいなぁと思うわけですよ。

長年ヲタクをやっていると、いろんなブームがものすごい勢いでやってきては、変な風に高まって変な風に拗れてすたれてきているのを見ているので…2匹目くらいはいいけどさ、5匹目ぐらいから変な盛り上がりみせるからなぁ…「ウケるから作る」ってのは頼むから、辞めて欲しいと思うのですよ。

そこはね、「おっさんずラブ」が腐女子ホイホイだからではなく、作品としてちゃんと作られたからこそ、な気がしています。

 

ま、何にせよ、面白かったです。おっさんずラブ