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スマさん世代の腐った文字書きが好きなものは好きと無駄に叫ぶ

フォーエバー・プラット

フォーエヴァー・プラットを見てきました。

フォーエヴァー プラッド公式ホームページ

川平慈英長野博松岡充・鈴木壮麻 4人のキャストと3人のバンドという構成のシンプルな舞台。
しかも、 最初の最初のビッグショー直前に事故で亡くなった4人のサウンドグループが地上に戻って幻となった自分達のステージを行うショーのみ、という舞台です。

これが。

ここ数年で一番の当たりでした。

もともとショー形式の舞台は好き。大作よりもきめ細かくキャストの魅力が分かる小さな作品が好き。そしてなにより、楽しいものが好き。

そういう意味で抜群に美しいハーモニーだけでなく、洒脱で演技とも現実ともミックスした彼等のステージはとても魅力的でした。彼らの歌を聞いているとニコニコしてしまう、そんな感じ。

良質のミュージカルを見ると起こることなのですが、帰り道に音楽が鳴っている。これ、本当に久しぶり。

しかも全員40すぎのおじさんなのに、みんな可愛いんだ。 勢いとノリがいいのに温かい川平さん、チャラそうなのに繊細でキュートな松岡さん、おっとりとした柔らかさに可愛らしさをにじませている癒し系の長野さん、オタク気質っぽいのに真面目さがおかしみを生み出す豊かな声量の壮麻さん。バランスもよく悪目立ちする人もいなく、彼ら自身の仲の良さ、リスペクト具合がちょうど良く舞台にも作用していたのです。

ちっちゃく前へ倣えとかエド・サリバンショーのパロディとか。愛に溢れた演出で内輪ウケではなく、楽しもうという気概が感じられました。

「こういうの、見たかったんだよ!」
そう思いながら、「こういうの」ってどんなのだっけと思い返す。

それは、石井さんを最初に見た「 魅惑の宵」、KANさんの楽曲の素晴らしさを教えてくれた「UP RUSH」…そしてなにより「アイ・ガット・マーマン」。誰が出ているからという以上にその作品がシンプルに楽しさを教えてくれる、更にキャストが唯一無二の仕事をしている、そういう作品。

「フォーエヴァー・プラット」は、 男性版アイ・ガット・マーマンといってもいい。アメリカのポップススタンダードを歌いつつ、歌うことを夢見続ける性を見せてくれる。



キャストを変えても新しいイメージが造られる。松岡くんの仕草は手越くんに似ていたし、長野くんの雰囲気は若い子でも出せるような気がしないでもないけど、彼らのバランスが良すぎてほかのキャストが考えられない。大人が楽しんで作っているからこそできる、洒落と粋の詰まった舞台でした。

ずっと笑っていた。 最近、悲劇が多い対策作品では体験できないこと。 

「絶対に見なきゃいけない」わけじゃない。けれども「何回だって見たくなる」そういう出会いがあったことがとてもとても嬉しかったのです。
 
フォーエヴァー・プラット Forever。 

板垣さんのブログにあった、糸井重里さんの言葉、を。 「気休めの鬼を目指す」「気晴らしの別名は慰め」そういう舞台を作りたいのだという。
演出の板垣恭一さんはこれまで意識したことがなかったけれど、「大江戸鍋祭」の演出や「サイドショウ」とか、実は「好きだな」と思える舞台を多く作っている人です。

気晴らしは慰め。

心癒される楽しい舞台を、ありがとうございました。